生きている懐メロ    
懐メロ
 
右端の記念写真用の人枠に”唄神”と書いてある。 直立不動の姿に髪型は東海林太郎であろう。 珍しいトリオだと思ってちょっとだけ聞いて
見ようと思った。 中年歌手が次から次と本格的懐メロを歌い続ける。 昨今では1960年辺の歌が立派な懐メロである。 それはそうだ、昭和35年
からもう半世紀も過ぎているんだから。 でも、我々の年代の懐メロとは、戦前戦中の古賀メロディや愛染かつらのことである。 なんと1時間も
聞き惚れてしまった。 周りにはお爺さんが大勢集まっており、回ってきた帽子の中にはお札が沢山入っていた。 今夏の狂暑を誰も想像もして
いなかった、立春近い浅草六区の片隅で出会ったお話しである。