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那須便り 「小鳥のお宿」

石川 恭久
今年の春、思い立って小鳥の巣箱を2個ばかり作って山荘の庭の立木に取り付けた。その後小鳥の声はすれ どもさっぱり寄りつく様子もないので、忘れかかっていた。 今月那須に赴いたとき、トイレの換気扇の通風 口の所から小さな枯れ枝が出ているのをみつけた。
実は2、3年前にも同じようなことがあって、梯子を持ち出し小鳥の巣かも知れぬとは思ったが、換気の邪魔になるからと、よく確かめもせずに枯れ枝を引っ張り出して棄てたことがあった。ところが地面に落ちた巣の残骸の中に、なんと小鳥の卵が3個分割れているではないか!よく確かめてから 始末すれば良かったと慚愧の念に駆られた経験があるので、今回は先ずソッと梯子を掛けて覗いてみた。そしたらきれいに編んだ枯れ枝の巣の中に小さな卵がまた3個入っているではないか! その時は親鳥は留守であったが、暫くそっとして様子を見ることにした。
換気扇の通風口に鳥の巣 巣箱に雀
暫く経って少し遠くのほうから覗いてみると、親鳥が帰ってきて卵を抱いているのが確認出来た。トイレの換気扇は照明と連動しており、点灯すると換気扇が回って通気口の弁が開くようになっているので、やむを得ずトイレの照明のスイッチは使用禁止とし、代替の照明として小さな常夜灯を臨時に設置して小鳥を驚かさぬようにした。前回の時は四十雀が巣を作っていたが、今回は写真で見るように、尾の長いセキレイに似た感じのきれいな小鳥である。その後滞在中観察を続けたが、ずっと抱卵を続けている。
一方巣箱のほうと言えば、ある日たまたま雀が巣箱の近くにいることに気づいた。見ていると巣箱の屋根に 止まったり、巣箱の小さな円い穴から出たり入ったりし始めているではないか!そのうち2羽の番であることが判ってきた。よく見ていると、なにやら巣の材料となりそうなものを銜えてしきりに巣箱に出入りしている。確かにこれは「新居」の建設中なので、出来るだけ驚かさないように見守る事にした。その後暫くして巣箱の屋根の上で2羽が愛の交歓を始めているのも目撃した。間もなく卵が産まれて抱卵期に入ることだろう。
数日前帰宅したが、7月にまた那須に行ったときにこの「2世帯」の小鳥たちの様子を見るのをが楽しみにしている。
那須便り その2


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