わが国の携帯電話は順調にその台数を伸ばしてきたが、普及率が60%を超え、需要の頭打ちが 取り沙汰されるようになった。電気通信事業者協会(TCA)が毎月発表している携帯電話契約数 のデータからその様相を推測してみた。
一見目に付くのは、2002年、2003年共に3月の増加が著しいことである。これは、各事業者が
決算の数字を上げるため年度末に激しい販売攻勢をかけていることと、新入学・入社等の需要
が多いことを示している。この3月のピークを除けば毎月の増加数は40数万台の横ばいであると
言える。年末にはどの商品にも見られる年末需要が見られたものの、昨年の10月、11月の純増数
はいずれも36万台のオーダーで史上最低を記録している。
次にIPについては、台数の増加と極めてよい相関を持っており、かつその数が減少の一途を 辿っていることが分かる。これはこの2年間にIP機能のついた新しい電話機が多数出回るように なると共に、インターネットやメールへの関心が高まり、殆どの人がIP機能付きの電話機を 購入するようになったためであろう。

図5に示すKDDIの動向は極めてドラマティックである。すなわち、
図7に3社の3Gの純増数を示す。W-CDMAとの比較は当を得ないかもしれないが、 KDDIのcdma2000-1Xの伸びは著しく高く、8月末現在の累計は973万を数えるに至っている。 これは多くのcdmaOne利用者がcdma2000-1Xに乗り換えていることを示し、cdma2000-1Xの導入は 大きな成功を収めたようだ。この方式はcdmaOneに比べて電話加入者容量が2倍になり、 データでは144kbpsの伝送が可能で動画のスムーズな伝送も可能である。インフラとしては 従来設備の簡単な改修ですみ、容易に全国展開ができたことが効果的だったと考えられる。
一方FOMAで先行したドコモは、初年度の売上目標を大幅に下方修正したが、上記のような
販売戦略の転換に伴って順調に加入者が増加しており、8月末現在では累計79万台弱となっている。
立川社長は先週「80万台を突破し、販売目標(150万)は達成可能だ」と強気の発言をしている。
ドコモはヨーロッパでのiモードの普及に力を入れると同時に、米国AT&Tワイヤレスに3Gの技術・
資金の援助を行っており、今後の状況が注目される。
JフォンのW-CDMAはまだ先が見えていないが、Vodafoneに名称変更を行うべく、ヨーロッパ諸国
とのローミングを売り物にして浸透を計っているが、当面はGSMとのデュアルモードでによる
ものと思われ、ヨーロッパ諸国でのW-CDMAの普及を待たなければならないだろう。