<今日は k-unet です> No.69 2007.7.18 (担当:巻田 文男)
k-unet会員の皆さん
お変わりなくお元気でご活躍のことと存じます。7月の<今日は k-unet です> 担当の巻田です。
7月には珍しい大型台風に見舞われ、それが過ぎ去った直後に、また
中越地方の大地震が発生し、自然災害の恐ろしさをつくづく感じる今日
この頃です。ライフラインが寸断され、多くの方々の生活が大変な事態
にあることに心が痛みます。
☆ さて、今回は最近の通信事情から、KDDIやNTTドコモなどが「寝耳に
水」であったという話題を、取り上げます。少々私見が混じるのをお許し
下さい。
- WiMAX* という通信システムのことをまだあまり聞かれていないかと
思いますが、このWiMAXを本命とする所謂ブロードバンド・ワイアレス・
アクセス(BWA)サービスが日本でどの様に事業化されるかのキーポイント
である周波数の免許方針に関し、5月15日に総務省から公表された内容は
通信業界を騒然とさせました。KDDIも一瞬頭を抱えたのではと思われる
ものでした。
*【注】WiMAX(ワイマックス:Worldwide interoperability for Microwave
Access)とは、BWAの国際標準規格で、無線LAN(通称 Wi-Fi(ワイファイ))
の通信可能範囲がアクセス・ポイントから100メートル程度までなのに対し、
WiMAXは10キロメートル程度と広いのが特徴です。
-
過去2年間ほど総務省の諮問機関の一つの調査研究会で、BWAサービス
に適した周波数帯が検討され、2.5GHz帯の80MHz帯域幅を使用することが
答申されていました。その答申を受けて、総務省が無線免許を許可する
対象は、BWAサービス展開に有利な大手通信事業者として、その帯域を
分割して数社に割当てるのではないかと、業界では思われていました。
と言うのは、KDDIやNTTドコモ等は、WiMAXの開発実験を熱心に推し進めて
きていたからです。特にKDDIのWiMAX開発は既に実証実験も終わり、世界
的にも最先端を行っていました。
-
ところが、総務省の5月15日の発表
(http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/070515_1.html)は、
2.5GHz帯の無線局免許を取得できる通信事業者から、第3世代携帯電話
サービスを提供する通信事業者とその子会社を排除するというものでした。
具体的には、KDDI、NTTドコモ、ソフトバンクモバイル、イー・モバイル
とそれらの役員が1/3以上の議決権を持つ関連会社は、免許付与の対象外
とするという方針案でした。
-
この総務省の方針案に対する意見公募が、6月15日まで行われました。
KDDI、NTTドコモをはじめ、多くの関係事業者や地方自治体等が意見を
提出しました。KDDIは、(怒りを抑えつつ淡々と)「2.5GHz帯の周波数を
使用する特定基地局の開設に関する指針案につき、事業者を差別する
理由はなく、第三世代移動通信事業者からも開設計画の認定へ向けた
申請を受け付けるべきと考えます。」との意見を出しました
(http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/070622_5.html)。
-
ドコモの担当執行役員はネット上で「正直、驚いた。今回のように特定
の事業者の参入を排除した免許方針案はおそらく初めてではないか。」
と(荒々しく)インタービュに応じています
(http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Interview/20070703/276523/)。
- この4月のk-unet総会で、KDDIの渡辺文夫さんは、
卓話(http://k-unet.org/k-unet/pw_k-unet/soukai/soukai-2007.html)
の中で、このBWAのことを一切触れられませんでした。彼はKDDIにおける
WiMAX開発推進のリーダー的立場にあるのですが、最もセンシティブで、
クリティカルな時期だったので話されなかったのだろうと、今になって
思い返されます。
- 意見公募を締切り、総務省は7月11日に決定を下しました。全国展開用
の全国単位の帯域(実効帯域 60MHz)に対しては、当初の方針を変えず、
地方展開の市町村単位の帯域(実効帯域 10MHz)にのみ、「第3世代携帯
電話サービスを提供する通信事業者とその子会社は除外」という枠を
外しました。地方自治体などから方針案反対の声があったからとの総務省
の説明でした。
- 大手通信事業者が、全国展開できない事業に、どれほどのビジネス価値
を見出せるのでしょうか?
-
韓国では既にWiBroというWiMAX相当のサービスをKT等の大手通信事業者
が提供していて、携帯電話とWiMAXを利用したデータ通信の融合サービス
としつつあり、米国でもその様な動きです。日本では、そういうサービス
の展開を困難とする総務省の無線免許方針が出てしまったと言えそうです。
-
話が長くなり、紙幅の関係で、ここで話を打ち切ります。WiMAXが何故
それほど騒がれるものなのか、どんなサービスなのかなどを説明しない
まま、通信業界が騒然となったという話だけで、申し訳ありません。
☆ お知らせ
○ 会員の異動
6月24日以降の新入会員は、小池陸夫さん、小林俊彦さん、前田清登さん、
峰村桂子さん の方々で、
k-unet会員数が404名に達しました。
○ アンケート調査のご回答をお早めに!
皆様のパソコンとの関わり方やk-unetホームページ、k-unet運営のあり方などに関するアンケート調査を
行っています。既に回答をお寄せいただいた多くの方々にお礼申し上げます。
未回答の方に、ここでお願いいたします。アンケートの回答方法は大変簡単で、ほんの数分の時間で回答
できます。より多くの方からの回答をもって、アンケート調査を成功させたく、よろしくお願いいたします。
アンケート調査票は、http://k-unet.org/cgi-bin/enquete/postmail.html にあります。
締め切りは8月4日です。
○ フォト・コンテストにご応募を!
『ふと心惹かれた風景』をテーマに第2回 k-unet フォト・コンテストを開催 しています。
多くの方の応募を期待しています。
応募フォームは、http://k-unet.org/cgi-bin/pcon/index.cgi にあります。
既に応募された方々の作品を、http://k-unet.org/k-unet/activity/contest/pcon-02/pcon-02.html で、
ご覧いただけます。
締切りは、8月10日です。
今月号は、以上です。
次号8月の<今日は k-unet です> 担当は、山本 勝美さんです。