< こんにちは k-unet です >7月号

No.105 2010/7/21
担当:稲垣 和則
 世界中を熱狂させたワールドカップ・サッカーの最終戦、ようやく開催にこぎつけた大相撲名古屋
場所、そして政権交代後の民主党政権に対する厳しい審判となった参議院選が重なり、弥が上にも
暑い夏の始まりとなりました。
 こうした地上の喧騒を離れて、しばし我々を深遠な宇宙に目を向けさせてくれたのが1ケ月ほど前に
地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」です。
 60億キロの壮大な宇宙の旅から7年ぶりに戻ったあと、6月13日、オーストラリアの夜空に閃光と
なって飛び散りながら、分身のカプセルを無事地上に送り届けた姿に、多くの人が心を揺さぶられ
たのではないでしょうか? 私は、2001年から5年間、JAXA(2003年まではNASDA)にいたことも
おつかいできた
あって、「はやぶさ」の今回の活躍には強い感銘を受けました。
 「はやぶさ」は、3億キロかなたの小惑星「イトカワ」にタッチ
ダウンして戻ってくるという人類初の偉業にチャレンジしました。
 新聞などに繰り返し取り上げられましたが、トラブルに継ぐトラ
ブル、文字通り満身創痍の奇跡ともいえる生還を成し遂げたわけ
です。回収されたカプセル内の微粒子が「イトカワ」のものかどうか
まだ分かりませんが、失いかけていた科学技術立国としての日本
の誇りを取り戻してくれたように感じました。 

☆【ブラジル上空のハエ】

  3億キロかなたの大きさ約500mの「イトカワ」は、月まで距離が約38万キロですから、800倍ほど
遥か彼方の極めてちっぽけな小惑星です。 距離と大きさの関係で言えば、日本の反対側のブラジル
上空を飛んでいるハエを撃ち落すようなものです。 ゴルフ場に例えれば、7,000ヤードの超ロング
ホールでホールインワンを達成したようなものではないでしょうか?

☆【宇宙で琴演奏】

 「はやぶさ」の開発費は130億円ですが、JAXAのプロジェクトの中では決して大きなものではありま
せん。例えば、私が関係した実験通信衛星「きずな」や「きく8号」の場合はそれぞれ約400億円です。
少ない予算で大変な成果を収め、そして我々に感動と夢を与えてくれました。ちなみに、今年の4月に
ママさん宇宙飛行士の山崎さんの活躍などで有名になった国際宇宙ステーションの日本の実験棟
「きぼう」は、開発費が約2,000億円で、年間維持費が約400億円の巨大プロジェクトです。
 毛利さんが宇宙へ行ってから18年が経過しましたが、山崎さんの宇宙での「琴演奏」や着物姿での
「手巻き寿司」作りは、かかっている莫大なコストを考えると喜んでばかりいられない気持ちです。

☆【事業仕分け】

  JAXAもご多分に洩れず、民主党政権の予算削減の目玉の「事業仕分け」の俎上に載せられ
ました。4月の事業仕分け第2弾では、丸の内のオアゾ(東京駅から徒歩1分)にある展示館「JAXA i」
が廃止と結論づけられました。
 本物のロケットエンジンや宇宙服のレプリカなどが展示されていますが、年間の運営費1億円の割り
には十分な効果を期待できないというのが理由でした。
 また、昨年の仕分けでは、「はやぶさの後継機」の予算が17億円から僅か3,000万円への大幅削減
となりました。数年前にアメリカの有名な科学雑誌「サイエンス」が特集を組むぐらい、「はやぶさ」の
挑戦は専門家の間で注目されましたが、次世代スパコンと同様、大変厳しい仕分け結果となったわけ
です。
 しかしながら、「はやぶさ」の今回の劇的な帰還と世間の前代未聞の盛り上がりで、スパコン同様、
予算復活の動きが政府内に出てきました(これではまるで、後出しジャンケン?)。
 同じ国家プロジェクトでありながら、無駄な施設の代表としてマスコミに取り上げられた静岡空港、
京都府の「私のしごと館」(今年3月末営業終了)には、それぞれ1,900億、550億円の国費が投じられ
ました。
 我が家の家計でも同じですが、お金の使い方は本当に難しいものです。
 

◎ k-unet からのお知らせ

(1) k-unetの動向

  ・ 6月末現在の会員数は、507名です。

(2) 第14回サロンk-unet の開催

 ・日時:2010年7月27日(火)10:30〜14:30
 ・場所:新宿区四谷地域センター11階 調理工作室
 ・テーマとメニュー:「夏野菜を食べて活力増加!」
 ・会費:1,500円 ・人数:15名
 ・お申し込みは7月20日頃までに、担当の鎌田光恵世話人(kamada_m@ac.auone-net.jp)宛に
  お願いします。

(3)パソコンアート・コンテストの予定

 ・8月1日(日)から9月30日(木)にかけて作品を募集する予定です。
 今回は例年と若干趣をかえて、「ユニークさ」「面白さ」[驚き]など特徴をもった作品が入賞する
 ような仕組み を考えて準備を進めています。
 その他、蛸のパウル君に因んだ賞!(?)を設けてコンテストを盛り上げる企画も考慮中です。
 近く応募要項を同報メールでお知らせするほか、k-unet ホームページにも掲載しますので
 ぜひご覧ください。
 次回<こんにちは k-unet です>8月号の担当は大谷世話人です。
以上