ラスベガスへ行った話 |
第 2 話 樫村 慶一 |
≪カジノ≫ 初めて見る本物のカジノである。暗くはないがそれほど明るくもない。それでも、酒を飲む場所よりは遥かに明るい健康的雰囲気である。ディーラーと呼ばれる胴元になるホテル側の従業員の紫系のきらきらしたチョッキと、白っぽいシャツの制服が明るさに見事にマッチしている。ディーラーにはなんとなくラテン・アメリカの有色系の人が多いように感じた。遊んでいる客達の人種は千差万別、あらゆる肌の人間が集まっている。一つ驚いたことがある。私どもが滞在したのは1月下旬の旧正月前、中国の正月を控えた頃である。 ![]() スロットマシンには最低25セントから遊べるものがあり、50セント、1ドルと上がり、1回100ドルまである。絵合わせは同じ絵が3つ揃うのと5つ揃うのがあり、全部揃うのは確立がかなり低い。全部揃わなくてもルールにより勝てる組み合わせがある。それよりも、スロットマシンのような機械を相手にする自動ポーカーが面白い。 ![]() ディーラーは親切である。博打の胴元なんていうと、その道の怖い人達を想像しそうだが全く違う。初めての人には親切に教えてくれる。でも、ディーラーを相手にするゲームは素人には絶対に勝てないだろう。多少は運がついてチップが増えることがあっても (私も一度20ドルの元がが500ドル近くまで増えた)、最後はなくなるものである。 ![]() ルーレットは、ディーラーによって、玉を入れる強さとか、チップを張るタイミングの限界とかが違う。女の方がどちらかと言うと、強く投げ入れるようである。ただ、ルーレットは競馬や競輪のように、同じ目(偶数、奇数とか、赤、黒、とか縦の同じ行とかのどれかに決める)に倍づつ張れば負けないと思う。ただし、勝った時の止める度胸が在ればの話しであるが。 ディーラー相手のゲームは空いている席には着くなと言われた。自分だけだと、毎回賭けないとまずいと思ってしまうからで、他に勝負している客がいると、ちょっと一服で、1〜2回他人の勝負を見ている余裕ができる。ルールがよく分からないゲームは、暫く見ていると分かってくる。そばで見ていても別に怒られはしないが、やっている人の気が散らないように注意しないといけない。ディーラーには決まった勤務時間がないそうである。カジノの中にはマネージャーのような人が絶えず巡回していて、ある席で勝ち続ける人がいると、その席のディーラーを交代させる。ディーラーが変わると客のツキが変わるのだそうで、それを境に結局元の木阿弥になる。場内のあちこちにキャシャーのボックスがあり、何時でも、いくらでもチップ・現金引換え券と現金を替えてくれるが、見ていると、5ドルや10ドルなどの引き換えには、横を向いたまま札を放り投げてよこすようなジェスチャーである。 ![]() もう一つ目から鱗が落ちたことがある。カジノの席は禁煙王国米国らしくなく喫煙自由なことだ。それはそうだろう、あらゆる手を尽くして、カジノ場へ客を引き寄せようとしているのに、席に座った途端に”禁煙だよ”言われたら、喫煙者は”バカヤロー”と言うだろう。ただし、空調は完璧で、煙の存在は全く気にならないのはたいした物だ。 今はラスベガスにはマフィアは全くいないと言っていたが、夜の歌舞伎町を歩いていて感じる、何となく怖いような気分は一切感じない。いい調子で賭けていると、米国にいることも、ラスベガスにいることも全く意識しない心境になることがしばしばある。もうできないかも知れない、貴重な貴重な経験であり想い出である。遊ぶからには楽しくなくてはならない、人間が遊ぶ所とは、このような所を言うのであろう。、いろいろ制約があり写真が思うように撮れなかったのが、残念なことであった。 【写真説明: 上、ラスベガスで1,2を争う高級ホテル:ベラージオ。 中上、ベラージオ・ホテル前の池の噴水ショー。 中下、煌びやかなカジノの中。 下、ルーレットのチップ・テーブル。 |
第3話へつづく |