四 季 雑 感 (6)
(6) 地方税が年金から天引きされることをご存知だろうか 
樫村 慶一
  昨日、2009年度の都民税、区民税の納税通知書が来た。封筒を開いてみると、例年と違い、右の方にひらひらと余分な紙が付いている。上に書かれたタイトルは”公的年金から特別徴収云々”とある。要するに都民税、区民税を年金から天引きするようになったのだ。昨年、後期高齢者医療保険料の徴収方法を巡って、不評が爆発した「年金天引き」制度の復活である。え−−!とびっくりして早速区役所へ電話した。問い合わせが輻輳しているので折返し掛けると言われ、待つこと2時間、担当者は努めて穏やかに話しかけてきた。説明によると、年金天引制度は2008年4月10日付けの地方税一部改正案とかの法律で決まったと言う。天引き対象者の定義が通知書のどこにも書いてないので、どうゆう人達が該当するのかと尋ねたら、@ 介護保険料が年金から引き落とされていない人、A 引き落とされる住民税額が基礎年金額を超える人、以外は皆対象になると言う。滞納を減らして、役所の手数を減らすことが理由だろうが、これは、後期高齢者の保険料を天引きすると言ったときの理由と同じではないか。
蓼科高原・イングリッシュガーデンの花壇/撮影 2009.6.7
  例年は年4期 (6月,8月,10月,2月期) に分けて自動振込みで納めている地方税を、今年は6月期、8月期だけ今までのように自動振込みにして、10月の年金からは、10月期、12月期、来年2月期と毎回厚生年金から天引きされる。来年度からは4月から天引きが始まるが、税額が確定する前なので、4月、6月、8月は前年度の実績 (つまり2月の天引き額と同じ) で仮徴収をすると言う。つまり1年間全ての支給月の年金から天引きされるわけで、年金というものは、全額を受け取る権利があるものなのに、今の介護保険料に加えて、政府の都合でいいように摘み食いされてしまう。どうせ払うのだから天引きしても懐の収支決算は同じだと思ったら大間違いだ。全額を手にして、それから払うのと、勝手に天引きとでは、気分的にも雲泥の差がある。年金を貰うことのない役人どもには決して分からない感情であろう
  新聞は結構よく読んでいるつもりだったけど、昨年の新聞にこんな記事が出たのは覚えていない。昨年の今頃は、例の後期高齢者の保険料徴収方法を巡って、世間が侃々諤々やっていた頃だから、4月に法律が出来たからと言って、とてもじゃないが、来年からは地方税も年金天引きなんてことはPRできなかったんじゃないかと推測する。同じ土俵に乗っていれば、この件も潰れていたと思うけどいかがであろうか。後期高齢者保険料については、介護保険料との合算額が、基礎年金の50% (本年は396,000円) を越える人は、年金からの天引きはしてはならないという規定があるが、税体系が違う地方税は、それとは関係ないと区役所の担当者は言っている。
  つい先日、社会保険庁から「年金振込み通知書」という葉書がきた。2009年6月〜2010年4月までの支払額、控除額、振込額の確定通知書である。10月から現行の介護保険料と所得税に加え、新たな天引項目が増えることが決まっているのに、全く予告らしき文言もなく、しゃあしゃあと2010年4月までの通知書をよこすとは、どうゆう感覚なのか。総務省と社会保険庁との不仲のためか。こっそり納税通知書の文面に潜ませて、こそこそ通知するという、政府の卑怯な行動に腸が煮えくり返るような思いでいる。法律とは、為政者にとっては、まことに都合のよい魔法の杖である。すべての苦情をみな泡と消しさらせてしまう威力があるのだから。
  10月と言う月は、控除方法を変更するなどの切り替え月なので、10月からにしたんだろうけど、知らなかった人が、年金の入金額を見てびっくりして騒ぎ出したりするかもしれないし、時まさに、民主党が天下を取って、世の中落ちつきのない時節になっているかもしれない。自民党政治の不満を、国民の目線政治の民主党が元に戻してくれる可能性が生じることを祈っている。  おわり
 
(お断り:上記の住民税年金天引きは、方法、時期などについて、自治体によって違うところもあることをご承知下さい。)
(2009.6.21記)