季節の風景: 落ち葉舞う頃
新宿御苑に行くと、いま穏やかな陽射しが落葉の上に
ふりそそいでいて、何か懐かしい気持ちに誘われる。
足元を見つめながらゆっくり歩を進めると、あちこち
に沢山のドングリが落ちていて、それを鳩が啄ばんで
いる。昔聞いたシャンソン “枯葉” の歌詞は、「あの頃
人生はもっと美しかった、そして太陽の光は今よりも
もっと輝いていた、その思い出を北風が枯葉とともに
運んでゆく」という物悲しいものだったが、御苑の落葉
からはそのようなやるせなさは響いてこない。落葉
を集めては散らして遊ぶ親子の幸せそうな温かい笑い
声だけが聞えてきた。“枯葉”は、若葉へと再生する
明日への備えなのだと …。
( 写真・文 : 大谷恭子さん)
枯葉踏む音を言葉と思ふとき 服部 幸