季節の風景:彼岸花が咲き始める
「曼珠沙華」、「狐花」など多くの別名を持つ。梵語では「天界の花」の意。この花の鮮やかな赤を、哀感を伴う美しい色と感じるか、不吉な色と受け止めるかは人によって異なる。小津安二郎監督は、その前者の人で、この花の色をとてもお好きだったという。小津監督のカラー第1作『彼岸花』では、文字の色や、絨毯、小道具のヤカン、履物の鼻緒などに、この花と同じ赤が効果的に使われていたのが、印象に残っている。
(写真・文 大谷恭子)
花言葉: 「情熱」 「再会」 「独立」
むらがりていよいよ寂しひがんばな 日野草城