季節の風景:深山花忍(ミヤマハナシノブ)

アルプスや北岳など高山に咲くという“深山花忍”、この古風で美しい名をもつ青紫の可憐な花を箱根湿生花園で見つけた。英名はヤコブの梯子(Jacob's ladder)。茎から葉っぱが交互に生えている様子を梯子に見立て、旧約聖書にあるヤコブが夢に見たという天使の昇降する天国から地上に至る梯子を結びつけての命名らしい。
大災害から1ヶ月余り、津波の彼方に逝ってしまった人々との間を往き来できる梯子があればよいのにとの想いが胸をよぎった。 ( 写真と文章 大谷恭子)

淋しさを秘めて春愁濃くしたる  井田実代子