季節の風景:秋あざみ

♪山には山の 憂いあり 海には海の 悲しみや
まして心の 花園に 咲きしあざみの 花ならば♪
と詠われた花。地味だが、どことなく人を惹きつける魅力がある。美しいものの奥には、なぜ憂いが感じられるのだろう。スコットランドでは、花といえば薊、国の守リ神的存在である。それは 1314年にイングランドと対戦した際、薊の棘を踏んだ敵兵が痛さで声を上げたため、侵入を察知、大勝利できたという伝説に因る。この国でみた薊は、日本よりもっと丈が高く、棘も太く逞しかった。  (写真と文章 大谷恭子)

来しときも立ち止まりけり秋あざみ 丑久保勲