(2)米国
@ Verizon Wireless
2003年末、米国では初めてワシントンとサンディエゴで1x EV-DOサービスを開始しました。今年は10以上の都市で
cdma2000-1XとEDGE(=Enhanced Data GSM Environment:最高384kbpsのデータ転送が可能なTDMA方式)を展開する
ようですが、全国展開は2005年以降になるようです。
A Sprint PCSが2002年8月、CDMA2000-1xのサービスを開始し、
全国展開をしている6社が出そろいました。同社は2005年中に全米主要都市で1x EV-DOによる高速データを提供
するといいます。
B S&S 11号でご紹介したように、CingularはAT&T Wirelessを
買収して2004年中には全米1の事業者となるはずです。両社は夏までにEDGEの全国展開を完了するそうですが、
そのため3Gは2005ないし2006年にずれ込むようです。ただ、AT&T Wirelessは株主であったドコモとの契約に基づき、
2004年7月、シアトルなど4都市でW-CDMAサービスを開始しました。
(3)韓国
韓国ではSKT、KTF、LGTの3社が800MHz帯並びに1.7GHz帯でcdmaOneとCDMA2000-1xを運用中です。2004年3月現在、
SKTの加入者は1540万、KTFのそれは710万です。EV-DOについては、SKTが2002年1月に、KTFは同5月からサービス
しており、それぞれ230万加入を擁しています。
更に注目すべきは、SKTとKTFが韓国政府の意向に沿い、2003年末にW-CDMAのサービスを開始したことです。
これは国内メーカーにGSM携帯機での国際競争力をつけさせる狙いがあるものと思われますが、韓国政府の指導力、
国策は常に絶大なものがあります。
(4)中国
2004年5月現在、全国の携帯電話利用者は3億500万人で世界第1位です。GSMをサービスしている「中国移動」
が最大の事業者ですが、第2の事業者「中国聯通」はGSMとCDMAをサービスしており、約1億人の利用者があります。
CDMAの利用者は約2300万人程度で、その内400万が1xを利用しています。
3G免許の発給は再三延期されてきました。今は2005年になるとの噂がありますが、中国政府は何のコメント
もしていません。「中国移動」と「中国聯通」とが有望視されていますが、現在は固定通信しか行っていない
「中国電信」と「中国網通」にも可能性があるとのことで、各社が実験を行っています。
一方、中国では独自の技術であるTD-SCDMA (Time Division-Synchronous Code Division Multiple Access)を
鋭意開発中です。この方式はシーメンスと「大唐」によって開発されたもので、PHSと同じくTDD方式であることから、
ペアになった周波数は必要ありませんし、上下非対称のデータ通信に最適だといい、帯域幅は1.6MHzと狭くてよいのです
。産学協同で8社が政府の下でTD-SCDMAフォーラムを作り早期普及を目指すことを決めましたが、サービスは当面
中国内に限られるのではないかと見られています。この技術の開発進展状況が中国の3Gの将来動向を握っている
ようですが、その裏には通信業界の更なる再編成が見え隠れしています。
5.むすび
以上、3Gの最新の情報をまとめてみました。この世界は日進月歩で目が離せません。技術的な話で読みにくかった事
をお詫びいたします。3Gのような新しいシステムはいつの間にか人々の生活に溶け込み、やがて無くてはならないもの
になって行く宿命にあります。無線は古くて新しい技術。若い人の力で、更に楽しいシステムが普及していくことを期待
したいものです。